リンカーンの映画での一番の関心事は、民主党支持派のスピルバーグが共和党の大統領だった人物をどう描くのかということ。しかしリンカーンは、恐らく史上最も有名な大統領であり、またしばしば史上最も偉大な大統領とも評されている。それは奴隷解放宣言と南北戦争の終結によるものだろうが、現代から結果だけを見れば、それは民主党でも共和党でも変わりは無いように思える。
彼の最大の功績は、奴隷廃止宣言だろうことは教科書にも載るくらい、広く世間に知れ渡っている。しかし彼が、決して人類平等論者ではなかったことは知られていない。
彼について思うことは、彼自身は黒人に対する差別意識は持っていたのに、早くから奴隷は解放すべきだと考えており、この点の整合性が俺にはよくわからない。そしてインディアン(ネイティブ・アメリカン)に対しては、その虐殺を指示するなど徹底的な差別論者でもあった。
映画は、南北戦争終結の為に、奴隷解放を最大の武器として利用するという視点が強かったように思えた。実際に「南部州における奴隷の反乱・逃亡・ボイコットの効果を狙い」というようなセリフがあった。俺が不明だったのは、奴隷解放は大統領の宣言で為されたことではなく、憲法を修正しなければ為されなかったということ。法律だけの問題ではなかったのだとわかった。